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福岡高等裁判所 昭和56年(ネ)638号 判決

控訴人・附帯控訴人(被告)

長崎自動車株式会社

ほか一名

被控訴人・附帯控訴人(原告)

永尾優子

主文

一  本件各控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。

1  控訴人(附帯被控訴人)らは各自被控訴人(附帯控訴人)永尾和美に対し金三〇八万〇八六七円及びうち金一五八万〇八六七円に対する昭和五六年一〇月二〇日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を、被控訴人(附帯控訴人)永尾優子に対し金一五五万二三二〇円及びこれに対する昭和五六年一〇月二〇日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

2  被控訴人(附帯控訴人)らのその余の請求をいずれも棄却する。

二  被控訴人(附帯控訴人)らの本件各附帯控訴をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は第一、二審を通じこれを五分し、その一を控訴人(附帯被控訴人)らの連帯負担とし、その余を被控訴人(附帯控訴人)らの連帯負担とする。

四  この判決は被控訴人(附帯控訴人)ら勝訴の部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の申立

控訴人(附帯被控訴人、以下「控訴人」という。)らは、「原判決中控訴人ら敗訴部分を取消す。被控訴人(附帯控訴人、以下「被控訴人」という。)らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは、「控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。」との判決を求め、附帯控訴として、「原判決を次のとおり変更する。控訴人らは各自被控訴人永尾和美に対し金一八八九万六八一八円及び内金一三八九万六八一八円に対する昭和五四年七月二〇日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を、被控訴人永尾優子に対し金二五一四万五九三一円及びこれに対する昭和五四年七月二〇日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え(当審において右のとおり請求を減縮)。訴訟費用は第一、二審とも控訴人らの負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言を求め、控訴人らは附帯控訴棄却の判決を求めた。

第二当事者の主張及び証拠関係

当事者双方の主張ならびに証拠の関係は、次のとおり付加し、改めるほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(但し、原判決八枚目裏四行目の「勘酌すべきである」を「斟酌すべきである」と訂正する。)。

一  原判決三枚目裏八行目の冒頭から五枚目表一行目の末尾までを次のとおり改める。

「(一) 逸失利益 四三〇五万〇一六二円

亡忠彦は、本件事故当時年齢二三歳の健康な男子であつたから、その逸失利益を算出するに当り、賃金センサス全企業規模計、全年齢平均給与額を基準とするのが相当である。昭和五五年度賃金センサス全企業規模計男子全年齢平均給与額は三四〇万八八〇〇円であるから、これに五パーセントのベースアツプ分を加算した三五七万九二四〇円を基礎として生活費として三五パーセントを控除し、六七歳までの就労可能年数に応じた逸失利益の現価をホフマン式により年五分の中間利息を控除して求めれば、五三三三万〇四九七円となるので、右金額の範囲内である前記四三〇五万〇一六二円の逸失利益が認められるべきである。」

二  原判決五枚目表七行目冒頭から同七枚目裏七行目末尾までを次のとおり改める。

「(三) 忠彦の死亡時までの損害 一四三万三三五五円

(1)  入院治療費 一三八万四〇七五円

(2)  付添看護費 一万八〇〇〇円

(3)  入院雑費 六〇〇〇円

(4)  休業損害 二万五二八〇円

忠彦は、本件事故発生当時、自動車運転手として一日当り五〇五六円の給与所得をえていたから、本件事故発生時から死亡まで五日間の休業損害は二万五二八〇円である。

4 被控訴人らの相続

忠彦の相続人は妻である被控訴人和美及び子である被控訴人優子の両名のみであるから、忠彦の損害について、被控訴人和美の相続分は一七四九万四五〇六円であり、被控訴人優子の相続分は三四九八万九〇一一円である。

5 被控訴人らの損害

(一) 被控訴人和美の損害

(1)  慰藉料 三〇〇万円

被控訴人和美が忠彦の死亡により蒙つた精神的苦痛に対する慰藉料の額は、本件事故の態様その他諸般の事情を斟酌すれば三〇〇万円を下らない。

(2)  葬儀費用 五〇万円

被控訴人和美が忠彦の葬儀費用として支弁した金額中少くとも五〇万円は本件事故と相当因果関係ある損害である。

(二) 被控訴人優子の慰藉料三〇〇万円

被控訴人優子は生後一年七か月にして父である忠彦と死別したものであり、これに伴い蒙る精神的苦痛に対する慰藉料の額は三〇〇万円を下らない。

6 弁護士費用 五〇〇万円

被控訴人和美は本訴の提起、追行を弁護士に委任して行い、第一、二審を通じ相当額の弁護士費用を負担することとなるところ、うち五〇〇万円(各審級二五〇万円宛)は本件事故と相当因果関係ある損害として、賠償が認められるべきである。

7 填補された損害

控訴人長崎自動車株式会社(以下「控訴会社」という。)は、治療費、葬儀社費用、仮払金の名目で合計一九一万六一七五円を支払い、更に自賠責保険より一八〇二万四五九三円の支払がなされた。

右支払合計額一九九四万〇七六八円を、被控訴人両名の本件損害賠償額(但し、弁護士費用を除く。)を按分し、被控訴人和美に対し七〇九万七六八八円、被控訴人優子に対し一二八四万三〇八〇円をそれぞれ充当すると、各残債権額(弁護士費用を除く。)は被控訴人和美が一三八九万六八一八円、被控訴人優子が二五一四万五九三一円となる。

8 よつて、被控訴人らは、控訴会社に対しては自賠法三条に基づき、控訴人平島に対しては民法七〇九条に基づき、控訴人両名連帯して被控訴人和美にその残存損害額一八八九万六八一八円及びうち弁護士費用五〇〇万円を除く一三八九万六八一八円に対する本件不法行為の後である昭和五四年七月二〇日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を、被控訴人優子にその残存損害額二五一四万五九三一円及びこれに対する本件不法行為の後である昭和五四年七月二〇日から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払うよう求める。」

三  原判決八枚目表八行目九行目を次のとおり改める。

「6 同6項の事実は否認する。

7 同7項の事実中、控訴会社及び自賠責保険から被控訴人ら主張のとおりの支払がなされたことは認めるが、その余は争う。

四  控訴人らの補足主張

控訴人らは、昭和五六年一〇月一九日、本件損害賠償の内金として一五〇〇万円を被控訴人らに対し、その各相続分にしたがつて支払つた。

五  右補足主張に対する被控訴人らの認否

控訴人らの右補足主張事実は認める。

六  証拠関係〔略〕

理由

一  当裁判所の判断は、次のとおり付加し、改めるほか、原判決説示の理由と同一であるので、これを引用する。

1  原判決九枚目裏七行目から八行目にかけて「第一二ないし第一五号証」とあるのを「第七ないし第一五号証ならびに当審における控訴人平島春好本人尋問の結果」と、同一〇枚目表三行目の「約七〇メートル」を「約六〇メートル」と、同一一枚目表四行目の「速やかに」を「速かに」とそれぞれ改める。

2  原判決一一枚目表一〇行目の末尾に、「しかして、控訴人平島の右損害賠償義務と控訴会社の前記損害賠償義務とは不真正連帯債務の関係にある。」と付加する。

3  原判決一一枚目表一一行目の冒頭から一七枚目表の末行までを次のとおり改める。

「三 忠彦の損害 三八五五万八〇一三円

1  逸失利益 二七一二万五〇〇〇円

前顕甲第一一号証、成立に争いのない甲第二四号証、乙第一、第二号証ならびに原審における被控訴人永尾和美の本人尋問の結果により成立を認める甲第一七号証によれば、被害者忠彦は、本件事故当時満二三歳に達していた健康な男子であつて、妻である被控訴人和美、長女である被控訴人優子の両名と生計をともにしていたこと(被控訴人らが忠彦の妻及び長女であることは当事者間に争いがない。)、忠彦は昭和五一年頃から三年間程長崎市所在の西彼酒類卸小売協同組合に自動車運転手として勤務し昭和五三年には年間一六八万九五〇〇円の給与所得をえていたが、より高額の給与をうる目的で、昭和五四年三月一二日から長崎県西彼杵郡時津町所在の有限会社時津資材にダンプカーの運転手として就職し、同年四月は一六万二三四〇円、五月は一四万八六六六円、六月は一四万四一一二円の給与の支給を受けていたことが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。甲第一八号証中には、有限会社時津資材においては、従業員に対し年二回(八月及び一二月)に亘り勤務年限に応じた賞与を支給する規定が定められていた旨の記載がなされているけれども、成立に争いのない乙第三、第四号証、第五号証の一ないし三一に照らすと、右甲第一八号証をもつてにわかに同社において年二回賞与を支給する規定が定められ実施されていたことを認めさせる証拠とはなし難く、他に忠彦が前記の給与の支給に加えて更に賞与の支給を受けることのできる法令または契約上の地位を有していたことを肯認するに足る証拠はない。

したがつて、忠彦の死亡当時の年間所得額は前示の昭和五四年四月から六月まで三か月間の給与合計額四五万五一一八円の四倍の額である一八二万〇四七二円と認めるが相当である。

しかして、忠彦については、その死亡時の年齢、家族構成等に照らし、六七歳まで四四年間就労し同額の収入をうることが可能であつたものとし、同人の生活費として三割五分を控除してその逸失利益を算定するのが相当であるので、ホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除してその現価を求めれば、別紙計算書(1)記載のとおり二七一二万五〇〇〇円となる。

なお、甲第一九号証中には、有限会社時津資材においては、従業員に対し毎年一回一月分より年一割の割合により定期昇給させる旨昇給規定が定められていた旨の記載があるけれども、前顕乙第三、第四号証、第五号証の一ないし三一に照らすと、右甲第一九号証をもつて同社において同記載のとおりの昇給規定が定められていたことを肯認できる証拠とはなし難く、他に忠彦がその給与について定期昇給を受けうる法令または契約上の地位を有していたことを肯認するに足る証拠はない。そうすると、本件の場合、忠彦の将来における就労可能年数の期間中、一定の回数および数額をもつて一定の昇給がなされることを、相当の確かさをもつて推定できる場合とはいえないから、右昇給を理由とする得べかりし利益の主張は採用できない。

なお、被控訴人らは、忠彦についてその逸失利益を算出するについては、昭和五五年度賃金センサス全企業規模計、全年令平均年間給与額三四〇万八八〇〇円に五パーセントのベースアツプ分を加味した三五七万九二四〇円を基礎として算出すべき旨主張するので、付言するに、前判示のとおり本件においては忠彦の死亡当時における現実の所得額が明らかであるから、これを基礎としてその逸失利益額を算出するのが相当であると考えられ、被控訴人らの右主張を採用することはできない。

2  慰藉料 一〇〇〇万円

忠彦の死亡時の年令、家族の状況、本件事故の態様その他諸般の事情を斟酌すれば、同人が本件事故の結果蒙つた精神的損害に対する慰藉料の額は一〇〇〇万円が相当である(なお、後記のとおり過失相殺をするので、請求額を超える慰藉料額を認容したことにはならない。)。

3  入院治療費 一三八万四〇七五円

前顕甲第一一号証及び成立に争いのない甲第二号証、第二三号証の一ないし三ならびに弁論の全趣旨によれば、忠彦は、本件事故による受傷後直ちに最寄りの大石共立病院に一旦搬送された後、同日長崎市内の滑石中央病院に転送されたが、更に同市内の十善会病院に転院され昭和五四年七月一九日死亡に至るまで同病院で入院治療を受け、治療費として合計一三八万四〇七五円を要したことが認められ、これに反する証拠はない。

4  付添看護費 一万八〇〇〇円

本件事故によつて忠彦が蒙つた傷害の程度および状況に照らすと、右入院治療期間中家族の付添看護を要したものと認められ、右付添費は少くとも一日につき三〇〇〇円合計一万八〇〇〇円を下らないものと認める。

5  入院雑費 六〇〇〇円

同じく、少くとも入院一日につき一〇〇〇円の入院雑費を要したものと認める。

6  休業損害 二万四九三八円

本件事故による忠彦の受傷の程度、状況に照らし、忠彦は、事故発生の翌日である昭和五四年七月一五日から死亡に至るまで五日間稼働できなかつたものと認める。本件当時における前記年間所得額一八二万〇四七二円に基づき五日間の休業損害を算出すると、別紙計算書(2)記載のとおり二万四九三八円となる。

四 被控訴人らの相続

前顕甲第二四号証及び弁論の全趣旨によれば、忠彦の相続人は、妻である被控訴人和美及び長女である被控訴人優子の両名のみであることが明らかであるから、忠彦の前記損害について、被控訴人和美の相続分は一二八五万二六七一円であり、被控訴人優子の相続分は二五七〇万五三四二円である。

五 被控訴人らの損害

1  慰藉料

前顕甲第二四号証及び原審における被控訴人永尾和美本人尋問の結果によれば、被控訴人和美は結婚後三年にして夫忠彦と死別し、本件事故による精神的打撃により妊娠中の第二子を流産するなどしたこと、被控訴人優子は生後一年七か月で父忠彦と死別したものであることが認められる。右各事情ならびにその他の諸般の事情を斟酌すれば、被控訴人両名の蒙る精神的損害に対する慰藉料の額は、それぞれについて三〇〇万円が相当である。

2  葬儀費用

原審における被控訴人永尾和美本人尋問の結果とこれにより成立を認める甲第二三号証の四ないし四五によれば、被控訴人和美は忠彦の葬儀費用として合計八二万九三七八円を出損していることが認められるところ、同人の死亡時の年令、収入等に鑑みると、うち五〇万円のみが本件事故と相当因果関係ある損害と認める。

3  したがつて、被控訴人らの右各損害に前記五の相続分を加算すると、被控訴人和美の損害額は一六三五万二六七一円、被控訴人優子の損害額は二八七〇万五三四二円となる。

六 過失相殺

前認定の本件事故現場の状況および事故発生前後の状況によれば、本件事故発生当時、折からの土砂降りの雨のため、事故現場付近の路面は水びたしとなり滑りやすい状態となつていたが、忠彦は下り勾配を衝突地点までかなりの速度で進行してきたこと、右衝突地点における忠彦の進行車線(幅三・四五メートル)は、控訴人平島運転の本件大型バスの中央線からのはみ出し部分(幅約〇・四五メートル)を除いてもなお約三メートルの余裕があり、したがつて、忠彦運転の本件ダンプカーの車幅(約一・七メートル)をもつても十分通行できる状況にあつたことが明らかである。以上の各状況に照らせば、忠彦においても、現場の道路状況や折からの天候を考慮し、対向車との接触ないし衝突事故を未然に防止するため、少くとも適宜減速して進行すべきであり、もし、忠彦が右措置をとつておれば、前記のように中央線を約〇・四五メートルはみ出して進行して来る本件大型バスを発見しても、適切な制動とハンドル操作により右大型バスとの衝突はもちろん接触も回避できたものと認められる。しかるに、忠彦において、本件衝突前、右措置を講じることなくかなりの速度のまま進行してきて本件事故となつたことは前認定のとおりであるから忠彦にも本件事故発生につき過失があつたものというほかなく、控訴人平島の本件事故における過失と対比すれば、その割合は同控訴人が八割、忠彦が二割とするのが相当である。

したがつて、控訴人らは前記各損害額の八割に相当する、被控訴人和美は一三〇八万二一三六円、被控訴人優子は二二九六万四二七三円の各損害賠償請求権を取得したこととなる。

七 損害の填補

被控訴人らが控訴会社から治療費、葬儀社費用、仮払金の名目で合計一九一万六一七五円、自賠責保険から一八〇二万四五九三円の支払を受けていることは、当事者間に争いがない。しかして、右各弁済について特段の充当指定がなされたものとは認められないから、被控訴人両名の前記各賠償請求債権額の割合に応じ按分して充当されたものと認めるのが相当である。

そうすると、右弁済金合計額一九九四万〇七六八円は、被控訴人和美に対し七二三万七一〇三円、被控訴人優子に対し一二七〇万三六六五円がそれぞれ充当され、残存損害額は被控訴人和美が五八四万五〇三三円、被控訴人優子が一〇二六万〇六〇八円となる

したがつて、控訴人らは各自本件損害の賠償として被控訴人和美に対し五八四万五〇三三円及びこれに対する本件事故発生の日である昭和五四年七月一四日から支払ずみに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を、被控訴人優子に対し一〇二六万〇六〇八円及びこれに対する右昭和五四年七月一四日から支払ずみに至るまで同じく年五分の割合により遅延損害金をそれぞれ支払うべき義務がある。

控訴人らが昭和五六年一〇月一九日本件損害賠償の内金として一五〇〇万円を被控訴人らに対しその各相続分にしたがつて支払つたことは当事者間に争いがないから、それぞれ先ず右弁済の日までの遅延損害金に充当し残余を元本債権額に充当すべきこととなるので、右弁済後の各残存元本債権額は別紙計算書(3)(4)記載のとおり、被控訴人和美は一五八万〇八六七円、被控訴人優子は一五五万二三二〇円となる。

八 弁護士費用

被控訴人らは、自己の権利擁護のため弁護士に委任して本件損害賠償請求訴訟を提起・追行しているものであるところ、成立に争いのない甲第二九号証及び当審における被控訴人永尾和美の本人尋問の結果ならびに弁論の全趣旨によれば、被控訴人和美が右弁護士費用を全て負担するものとし、手数料、報酬として一、二審を通じ五〇〇万円を支払う約束をしていることが認められるから、事案の難易・請求額・認容された額、控訴人らの一五〇〇万円の弁済が原判決宣告後であることその他諸般の事情を勘案し、右弁護士費用のうち少くとも一五〇万円をもつて本件事故と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。

九 以上のとおりであるから、控訴人らは各自被控訴人和美に対し前記残存元本債権額と弁護士費用の合計額である三〇八万〇八六七円及びうち弁護士費用を除いた一五八万〇八六七円に対する前記弁済の日の翌日である昭和五六年一〇月二〇日から支払ずみに至るまで年五分の割合による遅延損害金を、被控訴人優子に対し前記残存元本債権額一五五万二三二〇円及びこれに対する右の昭和五六年一〇月二〇日から支払ずみに至るまで年五分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払う義務がある。」

二 そうすると、被控訴人らの本訴各請求は、右の支払を求める限度においてのみ理由があり、その余は失当として棄却すべきである。よつて、控訴人らの本件各控訴は一部理由あるから原判決を主文第一項のとおり変更し、被控訴人らの本件各附帯控訴は理由がないのでこれをいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、九二条本文、九三条一項、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 松村利智 金澤英一 吉村俊一)

別紙 計算書

(1) 逸失利益の算出

1,820,472円×(1-0.35)×22.9230=27,125,000円(但し、千円未満四捨五入)

(2) 休業損害の算出

1,820,472円×5/365=24,938円

(3) 被控訴人和美に対する弁済充当計算

昭和54年4月14日から昭和56年10月19日までの遅延損害金

5,845,033円×5/100×(2+189/365)=735,834円

残存元本債権額

5,845,033円-(5,000,000円-735,834円)=1,580,867円

(4) 被控訴人優子に対する弁済充当計算

昭和54年4月14日から昭和56年10月19日までの遅延損害金

10,260,608円×5/100×(2+189/365)=1,291,712円

残存元本債権額

10,260,608円-(10,000,000円-1,291,712円)=1,552,320円

以上

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